いま中世びとの人生観が面白い――説話集が教える人間の生き方
今昔物語と宇治拾遺雄物語に散りばめられた小話は、奇想天外でありながら仏教的説話を通して人間の生き方を描いています。心に響く1冊です。
【担当編集者からオススメの一言】
『今昔物語・宇治拾遺物語』お楽しみいただけてますでしょうか。
平安そして鎌倉時代に書かれたこの二つの説話集の魅力は、なんといっても“話の面白さ”です。教科書で読んだ「禅珍内供の鼻の話」「瘤とりじいさん」「雀の恩返し」をはじめ、コミカルに、時にはシリアスに人間が描かれています。が、編集にとっては絵作りの大変難しい一冊でした。というのも、この「日本の古典に親しむ」シリーズでは、誌面で使う写真を全て新規撮影しています。話の舞台の写真はまだしも、心象風景や話の情景を表現するのはなかなか難しいものがありました。たとえば、「ある女が医師をだまして瘡を治した話」。医師は見目麗しい女性をわがものにしようと邪な心を抱きながら治療を続ける……でも女性もさるもの、治療をさせるだけさせてお代も払わずある日ぷいっと消えてしまう、というのが話の筋です。どんなビジュアルで話のイメージを作るか、考えました。思いついたのは古来、薬草をすり潰すのに使われてきた薬研(やげん)です。でも、どこに行ったら薬研はあるのか……。色々あたって、ようやくさる古道具屋に頼み込んで貸していただいたのです。どのような写真を撮ったかは、18ページをご覧になってみてください。(編集担当E)