内容
目からウロコの美術指南書! 最新の研究が明かす名画の技法と素材の謎
愛好家・表現者必携! 東京藝術大学による日本画の技法、素材・道具、保存・修復についての解説書。
【担当編集者からオススメの一言】
この本の中では一般によく知られた日本画作品を取り上げ、
日本画家や技法材料の研究者が見つけた、
作品の見どころや技法の秘密が明かされています。
絵を描く人にとっても、絵を見る人にとっても、
これまで見えなかった日本画の世界が見えてくるはずです。
また、この本は、これまでの美術書や技法解説書とは
かなり違う作りになっています。たとえば本書には、
絵画作品の原本ではなく模写が多く登場します。
それは、模写したからこそわかること、模写だからこそできる
見方をお伝えするためです。随所に掲載された「日本画論」も、
目からウロコの視点満載で読み応えがあると思います。
さらに、実際に絵を描く人にとっては
「第三章 誰もが知りたい日本画の奥の手」が必読。
具体的なテクニック、コツをプロセス写真も多用して
丁寧に解説しています。
日本画愛好家、美大生、表現者必携の1冊です。
目次
第一章 名作から読み解く素材と技法
■ 受容・変容・超越の日本文化
「法隆寺金堂外陣旧壁画」
■ 絵画の命 色の探求
国宝「麻布著色吉祥天像」
■ 絵画の「骨」 線描の愉しさ
国宝「鳥獣人物戯画」
■ 多彩なる墨の技法
伊藤若冲「鯉鯰図」
■ 光り輝く仏身を描く
国宝「仏涅槃図(応徳涅槃図)」
国宝「阿弥陀聖衆来迎図」
「阿弥陀三尊来迎図」
■ 截金VS金泥 超絶技巧の競演
国宝「普賢菩薩像」
「阿弥陀八大菩薩像」
■ 銀が織り成す幽遠静寂の美
国宝「普賢延命菩薩像」
■ 彩色の裏技
国宝「不動明王二童子像(青不動)」
■ 表具の裏技
「羅漢図」
■ 神仏の住処を飾る 厨子絵の魅力
「浄瑠璃寺吉祥天厨子絵」
「二十五菩薩来迎図絵扉」
■ 金箔が生み出すユニークな空間表現
尾形光琳「槇楓図屏風」
第二章 よみがえる名画
■ 模倣と超越
■ 「模写」が紡いだ日本の絵画史
■ 隠された図像を読み取る
「太子堂仏後壁裏面仏涅槃図」
「釈迦霊鷲山説法図(法華堂根本曼荼羅)」
国宝「孔雀明王像」
■ 世界で共有される失われた文化財
「琉球王朝第十八代尚育王御後絵」想定復元模写
「紙織画屏風」
「アフガニスタン・バーミヤン西大仏天井壁画西壁『菩薩と天人たち』
(部分)」復元模写
■ 仮説から始まる新たな研究
国宝「紅白芙蓉図」
「源誓上人絵伝」
■ 特許技術による絵画複製
特許技術 @ 壁画の複製
事例1 高句麗古墳壁画の複製
事例2 九州芸文館アートウォール
特許技術 A 絹本の複製
事例1「序の舞」の複製
事例2 「阿弥陀八大菩薩像」の複製
特許技術 B 板絵の複製
事例 「板絵著色天部像(醍醐寺)」の複製
第三章 誰もが知りたい日本画の奥の手
■ 絵を描く前に絵を仕上げる
■ スケッチのコツ
■ 絵づくりと線描
■ 技術の応用
■ 彩色のコツ
■ 箔の使い方
■ 色についての考え方
日本画論
1. 十二支の鼠に学ぶ日本文化
2. しみ込む文化
3. 目のつけどころ
4. 現地で絵を描かない理由
5. とらわれからの解放
素材・技法のコラム
岩絵具、筆、墨、截金、古色、裏彩色、絵絹、修理、金箔、和紙、胡粉