内容
そのパトスに世界が圧倒された─「明治のクール・ジャパン」
有田焼創業400年記念。再現不可能な「超絶技巧」を駆使した、緻密にして繊細な名品たちを一冊に。
【担当編集者からオススメの一言】
騒乱の幕末が終わり維新を迎えた日本。明治政府は輸出産業の育成、振興を図ったが、その花形となったのが有田の陶磁器だった。
かつて、鎖国の時代にも遠くヨーロッパへと伝わり珍重された「有田」は、ウィーン万国博覧会を皮切りにフィラデルフィア、パリでも大評判を呼び、有田の窯元、職人たちは活気づいていく。
本書は万博に出品された至宝を始め、セレブリティに愛された品々、職人たちの心意気が伝わる技巧を凝らした大壺など、有田焼創業400年を記念して一堂に会した超絶な名品、優品を収めている。
目次
【本書の主な内容】
明治有田の美
激変する時代が生んだ高揚、気宇、超絶の美
J The Exposition era
[幕末‐明治12年]
万国博覧会と有田
明治初期の輸出品
辻勝蔵 色絵透彫水禽文耳付三足花瓶 ほか
ウィーン万博
深海(年木庵喜三)青地白堆波涛獅子文龍耳瓶 ほか
フィラデルフィア万博
香蘭社(八代深川栄左衛門)瑠璃釉金彩竹文変形皿 ほか
内国博覧会
香蘭社(辻勝蔵) 色絵荒磯貝尽紅葉桜文大皿
パリ万博
香蘭社(年木庵喜三) 青地白堆宝珠貼付龍文壺 ほか
初期香蘭社時代
香蘭社(辻勝蔵) 色絵鳳凰秋草文耳付瓶 ほか
K Separation and Foundation,Koransha and Seiji Kaisha
[明治12年‐明治20年代]
「香蘭社」の分離と「精磁会社」の誕生
香蘭社
香蘭社 色絵有職文鳳凰耳付大壺 ほか
精磁会社
精磁会社 色絵金彩鳳凰花唐草文透彫大香炉 ほか
皇室の器
精磁会社 色絵瓔珞花文コーヒー碗・皿 ほか
洋食器
南里嘉壽 色絵人物文コンポート ほか
L Arita design
[幕末‐大正期]
華やかな明治有田のデザイン
明治初期の図案
深川栄左衛門 色絵青地牡丹鳳凰文大花瓶 ほか
「温知図録」と香蘭社製品
香蘭社(年木庵喜三) 色絵梅桜文瓢形瓶 ほか
M Arita and progress
[明治後期‐大正期]
近代有田の発展
深川製磁の誕生
深川製磁 色絵花兎唐草文食器 ほか
鍋島侯爵家の蔵品
香蘭社 薄瑠璃地金彩鶴亀杏葉紋大壺(対) ほか
香蘭社の発展
香蘭社 色絵金彩竹林文蓋物 ほか
旧柳川藩主[立花伯爵家]
華麗なる洋食器の世界
香蘭社 染付藤文サービスセット
【監修者プロフィール】
鈴田由紀夫●すずた ゆきお
佐賀県立九州陶磁文化館館長。1952年佐賀県生まれ。77年九州芸術工科大学卒業、79年同大学大学院修士課程を修了。同館学芸員を経て2010年から館長を務めている。