内容
奇跡の豊臣政権パワーの源を探求する
豪華執筆陣による歴史読み物。足軽から天下人へとのぼりつめた豊臣秀吉の生涯を、豊富な写真と図版でドラマチックに解説します。
【担当編集者からオススメの一言】
豊臣秀吉といって、みなさんはどんなイメージを持っていますか?
私は、10年ほど前に放送されたNHK大河ドラマ「秀吉」で主役を演じた竹中直人さんが鮮明に浮かびます。ツバを吐き散らしながらハイテンションで動き回り、ある時はふんどし脇から下半身が見え隠れ。信長の命令にも、ど派手なリアクションで「心配御無用!!」――。破天荒に明るく、知恵者で、機転が利き、体を張った勇気で、足軽から天下人へとのぼりつめていく“竹中秀吉”の姿を、毎週楽しみに観ていました。
本書では、秀吉の出生の秘密から、数々の劇的な勝利をもたらした戦略、信長や家康、家臣団をめぐる人間模様などを、豊富な写真やCG、立体イラスト、さらに豪華執筆陣によるさまざまな角度からの秀吉像をクローズアップしています。
この本を製作していて改めて感じたのは、「秀吉のギャンブル魂」。墨俣一夜城の築城、越前攻めでは死を賭したしんがりからの撤退など、信長の下、秀吉は常に最も危険な難しい役割をすすんで引き受け、ひとつ間違えれば敵に敗れ死、あるいは信長の逆鱗に触れて切腹という場面を、いつもぎりぎりのところで成功します。信長死後も、数々の最大の危機をチャンスに変えた秀吉。しかし柴田勝家や徳川家康らに大博打を打って勝ち、天下を手中にした後は、燃え尽きたかのごとく切れ味を失っていきます。
なけなしのお金を片手に、カジノに足を踏み入れた“竹中秀吉”。テーブルに着くやいなやツバを吐き散らしながらハイテンションでカードを切り、次々と登場する百戦錬磨のディーラーたちに勝ち続け、観客たちのどよめきと歓声のなか倍倍ゲームで大金を手に。ついにはあまりの勝負強さに誰も勝負を挑んでくれず、寂しげな様子で対戦相手を探している姿を、私は本書を読みながら想像してしまいました。
みなさんは、本書を通してどのような秀吉を想像しますか? ぜひご一読のほどを。(担当編集N)
目次
【図説】 天下統一を果たした秀吉の大逆転
織田信長に仕えてからというもの、わずかの好機も逃さぬ秀吉の迅速果敢な行動が多くの勝利をもたらした。実力本位の時代を駆け抜けた天下人・秀吉の“大逆転”の戦略を徹底解説する。
【ストーリー】 日吉丸から太閤へ秀吉生涯の謎 未知なる素顔
秀吉の生涯は作為的に作られたものが多く、始まりと終わりが不明であるといえる。気鋭の作家たちが出生の謎から、豊臣政権崩壊までの疑問に迫り、俗説を排し真実の素顔を明らかにする。
【図鑑】 黄金太閤の新世界 目で見る黄金文化
黄金に彩られた安土桃山文化を代表するのが秀吉の時代である。日本中の富を蓄積し、大坂城をはじめとする巨大建造物を建築。華やかな南蛮文化をも自在に操った黄金太閤の遺産を愛でる。
【解明】 奇跡の豊臣政権 パワーの源
“人たらし”秀吉の支配体制と政治政策の基本は、政権安定のための施策であった。近世の先駆的政権といわれる秀吉の斬新な支配体制を検証し、その巧妙な政策とパワーの根源を探求する。
【人物物語】 秀吉が織り成した人間模様 豊臣関連人物ファイル
秀吉は懸命に有能な人材のスカウトにつとめ、一代で家臣団を編成した。また、信長の直臣を多数召し抱えることで巨大軍団を作りあげた。それら秀吉と関係の深い人々の人生を振り返る。