【担当編集者からオススメの一言】

　本書では、近畿地方における古代の史跡を撮影するため、取材班が滋賀県と奈良県を訪れています。飛鳥・奈良時代は、新しい天皇の即位などにともない、政治体制を刷新するため何度も遷都が繰り返された時代。今回は、平安京遷都までに宮都が集中していた奈良盆地周辺と、天智天皇が遷都した近江大津宮跡がある滋賀県大津に向かいました。
　大津から奈良へと移動する４日間の短い行程で、初日の大津・崇福寺跡では局地的な大雪、そして最終日の奈良・東大寺では雲ひとつない晴天でした。琵琶湖畔から出発し、比叡山に連なる山々と京都盆地を越え、緑豊かな奈良盆地へと移動しながら撮影された写真をみて、この地域一帯の気候の変わりやすさと、起伏に富んだ地形を改めて実感。そしてそれは、同時に遷都の大変さを物語るものでもあります。本文の文章からだけでなく、本書掲載の写真からも、遷都にまつわる古代の歴史ドラマの壮大さを、少しでも感じ取っていただければと思います。（編集担当Ｓ）