内容
柳宗悦、河井寛次郎、白洲正子……目利きに愛された木工と漆芸の巨匠、生誕110年のめぐり合い
一冊まるごと目利き愛蔵の「モノ語り」。2014年、横浜のそごう美術館、旭川美術館で開催される書名と同じ展覧会の出品作品を網羅した「誌上美術館」。
【担当編集者からオススメの一言】
柳宗悦、河井寛次郎、白洲正子、小林秀雄、
武者小路実篤、川端康成……黒田作品を愛した目利き、著名人は
枚挙のいとまがありません。
そして各々が黒田が作り出す器や家具などにぞっこんでした。
たとえば白洲正子は黒田のために作品集の編集を自ら手がけ、
作品解説を丁寧に書き残しています。また、川端康成は
黒田が不本意な出来と思っている作品までをも、その木目の
面白さに惹かれ半ば強奪するように持ち帰ったほどです。
このように、目利きたちを魅了し、賛辞を送られた巨匠の作品は、
人をひきつけずにはおかない「何か」があります。
作品それぞれの「モノ語り」をお楽しみください。
【監修者プロフィール】
青木正弘●あおき まさひろ
実践博物館学・美術評論家。
浪人時代そして学生生活を京都で送り、その間、黒田辰秋の工房で
アルバイトと称して、螺鈿の仕事をしていた。
黒田の傍らでその仕事ぶりを見聞し、薫陶を受ける。
晩年の黒田を大変よく知る人物。
学芸員として長く務めた豊田市美術館は、
黒田辰秋の作品を数多く所蔵していることでも知られているが、
青木氏は2000年に黒田へのオマージュを込めた
「黒田辰秋展」を開催し、話題を呼んだ。
1974年岐阜県生まれ。71年京都市立芸術大学美術学部彫刻科卒業。
岐阜県の県立高校美術教師を経て、92年から豊田市美術館学芸員に。
数々の展覧会を企画し実現してきた。2007年から
同美術館副館長を務め09年に定年退職。
著書に『芸術/葛藤の現場』『ミューゼオロジー実践編/
ミュージアムの世界へ』などがある。