内容
「茶」をとおして日本人の思考法に迫る、ユニークな日本文化論
●外国の先進文化である「茶文化」を日本人がどのように受容してきたのか、その歩みを跡づけることで日本文化の深層に迫るユニークな試論
●全編に通底するキーワードは「異国ぶり」と「国ぶり」。中国から移植された「茶」はグローバリズムの象徴、まさに「異国ぶり」そのものだった。やがて日本人のアイデンティティを自覚する「国ぶり」=「侘び茶」が成立。その後再びグローバリズムとしての「文人茶」が登場。
目次
第一章 「国ぶり」と「異国ぶり」――せめぎ合う二つの魂
茶は「異文化」をまとう
いろいろな茶、それぞれの文化
「異国ぶり」は美術と文学に耽溺する
「国ぶり」の中の「異国ぶり」
リーフティーの「国ぶり」「異国ぶり」
「異国ぶり」文人茶と「国ぶり」侘び茶
第二章 茶の一二〇〇年――喫茶文化の変遷をたどる
平安時代 それは「文会」の宴から始まった
鎌倉から室町へ 闘茶・自由狼藉の世界
東山時代 「宋ぶり」のミクロコスモス
安土桃山から江戸初期 「国ぶり」としての侘び茶の誕生
江戸中後期 文人という自我
近代 せめぎ合う文人煎茶と茶の湯
第三章 侘び茶と文人茶――「聖性の希求」か「情の発露」か
露地の方向性⇦⇨園林の無方向性
初炭と懐石⇦⇨茶席と醼席
床の間 「聖性」の登場⇦⇨「聖性」の喪失
「序破急」の成就⇦⇨「起承転結」の展開
第四章 「同じ」茶道と「異なる」文人茶――「型物の茶」か「自娯の茶」か
茶道の成立と「国ぶり」「異国ぶり」
「同じ」への指向と「型物」の茶文化
利休というカリスマ 模倣と伝承
「異なる」への指向と「畸人」の茶文化
「国ぶり」「異国ぶり」を超えて
佃 一輝【つくだ・いっき】/
1952年大阪に生まれる。江戸後期以来、文人趣味の茶を伝える一茶庵宗家の当代。煎茶道とは異なる「文人茶」の伝承と再生をはかり、「文会」としての茶事を提唱。茶の湯文化学会理事。著書に『煎茶の旅〜文人の足跡を訪ねて』(1985年)、『おいしいお茶9つの秘伝』(2000年)など。